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ナミダカラ・ホシダカラ

異榻同夢(いとうどうむ)の友よ / 2015年4月11日~

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敬遠

岩須さんと、宮さんは、
ことあるごとに、私に言った。 
『何を言っているのか、意味がわからない』

入社してから1年半くらい、
2人から、そう言われ続けた。
 
期待に応えようとする 哀しい動物は、  
『莫迦』と言われ続けると、莫迦になってゆく。
『使えない奴』と言われっ放しだと、腐ってしまう。

批判をバネに 向上する人も、いるかもね。
繰り返し 凹むことを言われても、……

私は 萎縮しちゃったよ。
身長が縮みました。(背骨が湾曲したの)
自信のない奴が、いるべき場所じゃなかったみたい。
 
宮さんは、私を採用してくれた人だった。
岩須さんは、正直なだけ。
  
恨むまいと決め込みつつ、
莫迦とハサミは 使いようなのに、…と思わずにいられなかった。
    
Hさんと、岩須さんのこと、
セットで敬遠してた。
何故だろう?
触らぬ神に祟りなし?
 
夜勤に入る前、宮さんから、
『50を過ぎた男に期待しても 無駄だから』
『 Hさんとか、岩須さんとか』て言われたのが、
すごく嫌だった。

2人に気を遣え と 言いながら、
年齢や性別で 一括りにしてる感じが嫌だった。

私が サラリーマンの子どもだとしたら、たとえ冗談でも、
自分の親父を、そんな言葉で語られたくない。

「期待?」
「誰がするか!」

思い余って、
挨拶も忘れがちになったわね。
  
挨拶しないことは、
「あなたを 必要としない」という 無言のメッセージ、
「あなたと会えて 嬉しくない」という意思表明に、なりかねないのに。
  
私語禁止のオフィスだったので、
挨拶なしで 正解だったのかもしれない。

でも、私は挨拶したかったのよね。
挨拶だけで、幸せな気分になれるのだから。
  
声が出にくくなった。
ノドが詰まってしまい。

それは、言いたいことが言えない ストレスで、
首と肩が 凝り固まっているからだと 鍼灸師は言った。

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無題

 昔 見た アニメーションの、
2つの場面が忘れられない。

脚立の天辺に腰かけた植木屋さんが、

庭木の剪定をしてる粋な職人姿。

もうひとつのは、
その男と妻の、若い日の出会いの情景

たまたま列車に乗り合わせた2人は、
向かい合って座り、車窓からは熱海の海が見えた。

教養ある お嬢さんは、
熱海と言えば、「金色夜叉」の舞台だと、
寛一、お宮の悲恋(尾崎紅葉の小説)を 問わず語り。

それを聞いた青年(学生服姿)は、
突然、怒り出す。

目の前の座にいる娘と、お宮を混同して、
突き飛ばす勢いで、
「お金に目がくらんで、恋人を捨てるなんて最低なのだ!」と怒鳴り、
列車を降りてしまう。

夜の浜辺に座り、青年が涙ぐんでいると、
お嬢さんがやってきて、囁くのだ。

「あなたって、そそっかしいのね」
「私をお宮さんと勘違いして、本気で怒るなんて」
「でもそんなあなたを、好きになってしまったみたい」とかなんとか。

子どもには衝撃的だったけど、
原作がギャグ漫画だったこともあり、
何でもありの世界のこととして、私の記憶に刻まれた。

 
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 昔 聴いたラジオの
寸劇が忘れられない

主人公は、キシタニ・ゴロウ(役者莫迦)
毎回メグミ・トシアキが演じる女に惚れられる

 

「俺はキシタニゴロー、役者莫迦」と言って登場し、

「ゴローちゃん」と女の子に迫られ、いい雰囲気になるのだが、

 

女の子が、うっかり「結婚」を口にすると、

結婚恐怖症の主人公に、その場で手討ちにされる。

ゴルゴ31のように、人の命を奪っておきながら、

「俺はキシタニゴロー、役者莫迦」と気取って去ってゆく。

 

回を重ねるごとに、ゴロウの病は悪化して、

女の子が「結婚」という言葉を口にしただけで、

反射的に発砲したり、水に沈めてしまう。

 

しまいには、女の子が「け」と言ったとたんに、

『バーン』と銃殺していた。

 

そんな酷いドラマが、私は大好きだった。

不幸な結婚の犠牲になる 悲惨な子どもを生み出さない 闇のヒーロー

だったから かもしれない。